ここではファイトケミカルの免疫力効果について解説しています。
ファイトケミカル(フィトケミカル)とは、野菜や果物、豆類などの植物に含まれている化学成分のことです。
「ファイト(フィト)」はギリシア語で「植物」、「ケミカル」は英語で「化学」を意味します。このファイトケミカルは抗酸化作用をはじめとして、免疫力の向上や抗がん作用など体内での様々な働きが期待されており、その種類は1万以上あるといわれています。
また、ファイトケミカルは複数のフェノール性ヒドロキシ基をもつ植物成分の総称であるポリフェノールと、天然に存在する色素成分で、強い抗酸化作用があるカロテノイド、またアブラナ科の野菜に含まれ、強い殺菌作用があるとされる硫黄化合物などがあります。
そのほか、植物の香り成分で精油の主成分となり、抗酸化作用や免疫力強化などの働きがあるとされる香気成分(テルペン類)や、炭水化物の一種で海藻や根菜類に多い多糖類などもあります。
ちなみに、たくさんの種類があるファイトケミカルは緑黄色野菜や果物の様々な組み合わせによって、感染症を予防するなど、さらなる免疫力効果が発揮されるといわれています。
ファイトケミカルの免疫力効果には、以下のようなものがあります。
(ジョエル・ファーマン『100歳まで病気にならないスーパー免疫力』より抜粋)
ポリフェノール
アントシアニン、クルクミン、カテキン、クロロゲン酸、ショウガオール、オレオカンタール、イソフラボン、セサミン、へスぺリジンなど。
カロテノイド
β‐カロテン、リコピン、アスタキサンチン、ルテインなど。
硫黄化合物
アリシン、イソチオシネアート、スルフォラファンなど。
香気成分(テルペン類)
リモネン・リモニン、メントール、オイゲノールなど。
多糖類
フコイダン、ムチン、イヌリン、βグルカン、プロアントシアニジンなど。
ポリフェノールとは、植物が光合成でつくる糖分の一部が変化したもののことで、植物の光合成に伴って生成される植物の苦みや渋み、色素の成分となる化合物を指します。
そのためポリフェノールは植物の葉や茎、実などに多く含まれています。
自然界にはポリフェノールがおよそ5000種類にも及んでいるとも言われています。複数の水酸基(OH基)が結合したベンゼン環をもっているのが特徴で、このOH基は活性酸素やフリーラジカルといった有害物質を捕らえ、安定した無害な物質に変える作用があります。
このために、ポリフェノールは強力な抗酸化作用があると言われています。
したがって、ストレスからくる肌荒れ抑える効果や、活性酸素の働きを抑制し、細胞の老化を防止してくれる効果があるという点はどのポリフェノールにも共通しています。
ポリフェノールを豊富に含んでいる主な食べ物には、赤ワイン、大豆、緑茶、ごま、バナナ、生姜、蕎麦、プルーン、カカオ、春菊、れんこん、紫芋、ブルーベリー、などがあります。
またポリフェノールは、食品の中に自然に含まれている植物成分なので、過剰摂取しても特に重篤な副作用は無いとされています。
そのため、ポリフェノールは免疫力アップに効果的な成分だといえます。
ただし、大豆に含まれているイソフラボンは女性ホルモンの働きに似ているので、摂りすぎるとホルモンのバランスが崩れることがあると言われています。
そもそもポリフェノールはフレンチパラドックスという、フランス人は肉やバターなどの高カロリーな食生活を送っているにも関わらず、他の欧州諸国に比べて 心臓病による死亡率が低いという矛盾についての研究で注目されるようになりました。
このフレンチパラドックスの現象に注目したフランスの科学者が、フレン チパラドックスの要因はフランス人が日常的に赤ワインにあるという考察を発表し、それによって研究者の赤ワインに対する注目が高まったとされます。このこ とがきっかけで抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富に含まれている赤ワインには、心臓病をはじめとする循環器疾患を予防する効果があると期待されるよう になったと言われています。