ここでは免疫力を高める食べ物を紹介していますが、毎日の食生活で免疫力を高めていくためには、野菜を中心にした食習慣を持つことで栄養バランスを整えることが非常に大切になってきます。

 

その理由は、野菜には「ファイトケミカル」と呼ばれる植物特有の有効成分が多く含まれており、そのファイトケミカルが体内の免疫システムが機能するのを強力にサポートしてくれるからです。ちなみにファイトケミカルは、普段よく耳にするポリフェノールやカロテノイドなどの総称です。

 

また、生野菜には食物を分解してくれる消化酵素が含まれているため、生の野菜をたくさん食べて体内の消化酵素が増えれば増える程、代謝酵素が働きやすくなります。そうなると栄養素が吸収されやすくなり、新陳代謝がはかどります。

 

野菜の次に大切な食材は果物です。果物にもファイトケミカルや酵素が多く含まれていますし、果物の果糖はお菓子などに含まれる砂糖と違って、分解・吸収されやすいために太りにくいとされています。そのため、間食や朝食などに果物を採り入れることは、体の健康にとって非常に良いことだと思われます。

 

現代社会は特に、工場で製造された加工食品や加熱食品、ファーストフードなどが増加していることが、人間の身体に必要な栄養素を充分に摂る機会を損ねています。また、そのような食品には賞味期限を延ばすための食品添加物が多く使われており、栄養素が少ないだけではなく、体に悪影響を与えてしまいます。

 

お菓子やアイスクリーム、ケーキなどの食品を食べる際は、味を楽しむためのものと割り切って、栄養素の摂取という目的とは別であると考える必要があります。

 

また、野菜や果物の栄養価も数十年前に比べると、農薬の散布やビニールハウスなどの影響でかなり落ち込んでしまっているため、多くの方が慢性的な栄養失調に陥っている可能性が考えられます。

 

さらに、コンビニエンスストアに流通しているサラダやカット野菜は、化学薬品による消毒・洗浄によってほとんど栄養は残されていないため、コンビニエンスストアで売られている野菜で日頃の野菜不足を補っているつもりでも、きちんとした栄養になっていない場合も考えられます。

 

そのため、安い野菜ばかりを買うのではなく、多少の値が張るとしても、有機栽培の野菜や果物を出来るだけ選んで食生活に採り入れていくことが大切になってきます。

 

そして、野菜や果物を食べる際には、限られた種類のものだけを食べるのではなく、様々な種類を組み合わせて食べるようにすることが、免疫力を高める秘訣です。

 

免疫力を高めるには腸と腸内細菌を意識した食事の仕方も大切

 

また、それに加えて豆類や発酵食、穀類、海藻類などをこまめに食べることによって、免疫機能を維持するためのビタミン、ミネラル、酵素を補充し、体の自然治癒力を高めていく必要もあります。

 

さらに、これらの食材は食物繊維や乳酸菌などが豊富で、腸内環境を改善する効果もあるため、腸内細菌のバランスを整えるためにも、日頃から摂るようにする必要があるのです。

 

ちなみに豆類は植物性のたんぱく質をはじめとして栄養価が優れていますし、海藻類はカルシウムなどのミネラルが豊富です。また、納豆をはじめとした日本の伝統的な発酵食にも、体や腸に良い影響を与えるものが多数あります。

 

穀類については、毎日白米にするのではなく、日によってビタミンＢ群や多くの有効成分が含まれている米糠（こめぬか）や胚芽が残っている玄米をうまく採り入れたり、雑穀などを混ぜてみたりする工夫をしてみると、より一層不足しがちな栄養素を補えるようになります。

 

また、胡麻や亜麻仁（フラックスシード）などの種子類や、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類には、たんぱく質やミネラル、食物繊維、必須脂肪酸などがバランスよく含まれています。だからといって食べ過ぎは避けるべきですが、適時、これらの食材を毎日の食事に加えていくことで、栄養状態は大きく改善されていきます。

魚や卵、乳製品などは無理して毎日食べる必要がなく、一週間に数回程度でも構いません。また、牛肉や豚肉といった肉類は高たんぱくなうえに脂肪分が多いので、消化されにくく、体に余計な負担をかけてしまいます。

 

肉を全く食べず、野菜だけの食生活を送ってしまうと、ビタミンＢ１２などが不足しがちになるため、牛肉や豚肉はある程度、摂取する必要がありますが、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質は大豆に含まれている植物性のたんぱく質でも補えるので、体を作ろうとして毎日無理してたくさん食べる必要はないのです。

 

つまり、免疫力を高めるための食生活の基本は、肉中心の高たんぱく、高脂肪の食事や、インスタントラーメンなどの加工食品、お菓子やケーキなどの甘いものを減らしていき、その代わりに野菜や果物、発酵食や海藻類などを積極的に摂るようにすることなのです。

 

もちろん、日頃の食生活において、食材にこだわるあまり、体に「良い」「悪い」と変に神経質になってしまっては、ストレスも溜まり免疫面でも逆効果になる場合があります。そのため、毎日の食事に対して感謝の気持ちを持ち、よく噛み、味わいながら食事することも免疫力を高めるうえで大切なことです。