『究極の免疫力』 西原克成 著

ここでは生命力と免疫力について考えるために、西原克成氏の『究極の免疫力』を紹介したいと思います。

 

医学博士の西原克成氏は、質量のある物質だけではなく、質量のないエネルギーが、生命と関係していることについて述べています。

 

たとえば『究極の免疫力』のなかで西原氏は、「質量のない物質、つまりエネルギーが生体に果たしている影響・役割をきちんと把握していくことが必要不可欠」だとしています。

 

また、「人間の生命を把握し、その生命におこる現象を把握するには、食べもの、飲みもの、薬といった物質と、熱、寒冷、圧力、光、引力、音波、電波といった環境エネルギーの両面から身体と生命を捉え直す視点がどうしても不可欠」であると述べています。

 

さらに、「エネルギーの渦が巡らなければ生命の渦も巡らないのです」としています。

 

究極の免疫力

 物質中心主義こそが唯物論ですが、これが行きづまりを見せています。これを打破するためには、質量のない物質、つまりエネルギーが生体に果たしている影響・役割をきちんと把握していくことが必要不可欠だと思います。私たちの身体には、体温をはじめ、エネルギーが巡って旧くなった細胞を新しくつくりかえています。西原克成『究極の免疫力』 p73

 

 それでは、そのエネルギーとは何でしょうか? エネルギーとは、質量のない物質です。質量のある物質は、ある極限状態でエネルギーに変換されます。これが十九世紀に明らかになり、二十世紀に検証された宇宙の構成則である「エネルギー保存則」です。世の中は質量のある物質だけでできていたのではないのです。

 とくに生命は、エネルギーの渦の回転とともに細胞やそのパーツがリモデリングし、新陳代謝して老化を克服するシステムです。そうした視点、エネルギーを視野に入れた視点が今の医学には完全に欠けているのです。

 

 生きているということはエネルギーを使って細胞がつくりかえていくことです。細胞は確固として不変にそこにあり続けるのではなく、つねにエネルギーが流れこみ、流れ去りながら、細胞自体がつくりかわり、生命現象が維持されているのです。つまり、生命とはエネルギーの渦が巡りつつリモデリングすることであり、これが止まるのが死なのです。(西原克成『究極の免疫力』 p73

 

 生命の定義は「タンパク質・核酸・糖・脂質から成る水溶性コロイドの電気現象を中心としたエネルギー代謝の回転と同時におこるリモデリングのシステム」です。エネルギーの渦が巡らなければ生命の渦も巡らないのです。そして外界のエネルギーには、生命の電気反応系の渦を巡らすのに有利なものとこれを阻害するもの、無影響なものの三種があります。(同 p73~74)

 

 このように、進化の進んだ生物になればなるほど、外界のエネルギーからの影響を強く受けます。そこに、さまざまな病気や体調の変化がおこる原因があります。ですから、人間の生命を把握し、その生命におこる現象を把握するには、食べもの、飲みもの、薬といった物質と、熱、寒冷、圧力、光、引力、音波、電波といった環境エネルギーの両面から身体と生命を捉え直す視点がどうしても不可欠なのです。(同 p74)

究極の免疫力
『究極の免疫力』 西原克成 著 講談社インターナショナル

そして、「生命の渦」に深く関与している存在として「ミトコンドリア」を挙げており、「免疫病はどれも、細胞呼吸のミトコンドリアの障害によるものです」と述べています。

 

ミトコンドリアは、私たちの生命がよりどころとしているエネルギー物質を産生するところですから、ここが駄目になれば、すべてがおしまいなのは当然です。だからこそ、ミトコンドリアが活性化するような生き方をするが肝要です。生命とは、ミトコンドリアがつくりだすエネルギーの渦が巡るとともにおこる細胞のパーツや細胞そのものもリモデリング(新陳代謝)によって老化を克服するシステムなのです。西原克成『究極の免疫力』 p167

 

私たちは健康を考えるうえで、目に見えるもの(物質)だけに囚われがちですが、目に見えないエネルギーが、私たちの生命や免疫と深く関わっているということを、肝に銘じておく必要があるように思います。

 

 ミトコンドリアの行っているエネルギーの産生(エネルギー代謝)にも、リモデリング(新陳代謝)にも、もとよりこれを回転させる機動力としてのエネルギーが必要です。そして、エネルギー代謝と新陳代謝と新陳代謝の本質も、エネルギーを考慮に入れないと把握できません。エネルギーの作用によって私たちの細胞の機能がすべて営まれています。細胞の中にあるミトコンドリアも、エネルギーによってミトコンドリアの遺伝子の引き金が引かれて、リモデリングしたり増殖して機能しているのです。このときのエネルギーが、熱であり、太陽光線のソーレー帯です。ミトコンドリアの活動には、温熱と光刺激が必須なのです。西原克成『究極の免疫力』 p167

 

また西原克成氏は多くの免疫病を防ぐための生活習慣として、以下を挙げています。

 

  • 鼻呼吸の徹底
  • 8時間の睡眠(仰向けになって骨休め)
  • 身体を温める(特に冷たいもので腸を冷やさない)