AGE(糖化タンパク)とは?

ここでは糖質制限との関連で「AGE」(AGEs)の危険性を取りあげています。

 

「AGE」とは「終末糖化産物」のことで、「加齢(age)」を意識して名付けられたと言いますが、この「AGE(AGEs)」について、神経科医のデイヴィッド・パールマター氏は、『「いつものパン」があなたを殺す』のなかで、以下のように述べています。

 

 糖化反応とは、糖分子がタンパク質、脂肪、アミノ酸に結合することを意味する生化学用語だ。糖分子自身が結合し、自然発生的に起こる反応で、メイラード反応と呼ばれることもある。

(中略)

 

 このプロセスは終末糖化産物(通例、AGEsと略記される)を形成し、このAGEsによってタンパク質の繊維がゆがめられ、硬くなってしまう。

 

 年相応に老化しているヒト、つまりシワやたるみ、肌の変色があり、また加齢によって輝きが失われた人を見ると、AGEsの作用がわかる。その身体的影響は裏切り者である糖と手を組んだタンパク質によるものであって、AGEsが肌の老化において重要な役割を果たしている理由の説明にもなる。(デイヴィッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p179~180

 

つまり、糖化反応によって形成された「終末糖化産物」である「AGE」は、老化を引き起こす原因になるのです。

 

さらに、「終末糖化産物」についての説明をするために大切になってくるのは、「ヘモグロビンA1c」と呼ばれる存在です。

 

医学博士の山岸昌一氏によれば、「ヘモグロビンA1c」は「正常なヘモグロビンに糖がたんこぶのようにくっついて変質した「糖化産物」」だといいます(参考 山岸昌一『老けたくなければファーストフードは食べるな』)。

 

赤血球中のタンパク質の一種である「ヘモグロビン」は「肺から体の組織に酸素を運搬する働き」をしていることは良く知られていますが、そのヘモグロビンに「糖がたんこぶのようにくっついて変質した」のが「ヘモグロビンA1c」なのです。

 

終末糖化産物「AGE」の危険性とは?

 

そして「AGE」とは「ヘモグロビンA1c」に代表される糖化物質が変質しきった、毒性の強い物質のことであり、「糖化物質の慣れの果て」を指しているそうです。

 

その「AGE」の形成に関係しているのは「メイラード反応」と呼ばれるものだといいます。

 

「メイラード反応」とは、「長く食品化学の領域で糖とタンパク質の化学反応として研究されてきた」もので、「食品を構成する糖とタンパク質が加熱によって変質する化学反応のこと」だとされています。

 

また「糖とタンパク質がくっついて褐色ないしは黄色になる「褐変反応」」だと言います。

 

そして厄介なのは糖はヘモグロビン以外にも、体内のタンパク質とくっついてしまうところだと言います。

 

 人間の体内にあるタンパク質はヘモグロビンだけでしょうか? いいえ、そうではありません。体の細胞や組織はほとんどがタンパク質でできています。

 つまり体内の組織が糖にさらされて、長い間体温で温められていると、どんどん糖化が進み、最終的な糖化物質、つまりAGEになっていく。体のあちこち、そこら中にタンパク質が糖化されたAGEがたまっていて、本来の組織を攻撃するようになる。AGEは異常な糖化物質、モンスターなのです。

 人間が老化していく姿とは、こうしたことだったわけです。(山岸昌一『老けたくなければファーストフードは食べるな』p34~35

 

つまり、モンスターである「AGE」の危険性とは、体中のタンパク質が「AGE」化し、老化を促していくことだと思われます。

 

そのため、老化を防ぐための予防策としても、日頃からゆるやかな糖質制限を行うことが大切になってくると考えられるのです。

山岸昌一『老けたくなければファーストフードは食べるな』
山岸昌一『老けたくなければファーストフードは食べるな』