体温を上げて免疫力を高める

免疫力低下の原因は体温が下がることだとも言われているため、免疫力を向上させるには低体温を避けることが重要です。

 

医師の齊藤真嗣氏は「体温が一度下がると、免疫力は三十%も低く」なりますが、「体温がたった一度上がるだけで免疫力は五倍から六倍も高くなると述べています。

 

また、低体温は体内を酸化させ、老化スピードを促進させるうえ、健康な細胞の新陳代謝が悪くなるのに対し、「ガン細胞は三十五度台の低体温のときもっとも活発に増殖する」ことが分かっているとしています。(齊藤真嗣『体温を上げると健康になる』

 

さらに、免疫学者の安保徹氏によれば、体温の低下には免疫細胞のリンパ球の比率が関係しているそうです。

 

リンパ球とは白血球の仲間で、NK細胞、B細胞、T細胞があります。そのリンパ球は、自律神経の交感神経が優位になり、緊張状態が続きすぎると比率が下がり、副交感神経が優位になり、リラックス状態が続きすぎると、比率が上がるとされています。

 

ストレスなどで交感神経が緊張しすぎ、体温が36℃以下になるとリンパ球の比率が下がります。その代わりに顆粒球という白血球の仲間が増えすぎることで、胃炎や胃潰瘍などの疾患が増えると安保氏は述べています。

 

反対に、何もしないでただじっと家の中に居続けるといった生活などで、副交感神経が優位になり過ぎても、体温の低下を招くと言います。そうなるとリンパ球の比率が高まり、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患が増えてくるそうです。

 

その理由はリンパ球が増えすぎることで、細菌やウイルス以外の、ふつうは敵とみなさないものにまで、過剰反応を起こしてしまうからです。そのことがくしゃみや鼻水が出る原因です。

 

過剰なストレスも全くストレスの無い生活も、体温を下げてしまうことの大きな要因です。わきの下は36.2度前後、からだのなかは37.2度に保たれている状態が望ましいのです。(参考 安保徹『体温免疫力』 ナツメ社)

お風呂にゆっくり浸かって身体の芯まで温めて免疫力を高める

体温の低下やストレスの増加で免疫力が下がると、風邪など引きやすくなりますが、それを防ぐのに手っ取り早く効果的なのは入浴です。

 

しかし、入浴で免疫力を高めていく際、大切なのは気持ちが良いと感じる温度の湯に浸かることです。

 

安保徹氏はお湯の温度は体温+四度が調度良いとしています。体温が三十六~三十七度の人であれば、一般的に言われるようにお湯は四十~四十二度が適温ですが、三十五度くらいしかない低体温の人であれば三十九度程度に調整しないと熱く感じてしまいます。

 

お風呂に入るといっても、すぐに湯から出てしまう「カラスの行水」では身体は温まりません。身体が芯まで温まるのにはそれなりの時間が必要になります。体温+四度のお湯に十分間、全身浴で湯船に浸かったり、半身浴で三十分から一時間浸かったりすることが効果的だと安保氏は述べています。

 

また、もし熱くなってつらいと感じたらその時は早めに出たほうが良いそうです。その時、めまいなど起こして転倒してしまわないように慎重に湯船から出ることが大切です。

 

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参考文献 

斎藤真嗣『体温を上げると健康になる』 サンマーク出版

安保徹 『体温免疫力』 ナツメ社

体温免疫力