ミトコンドリアと水素

ここではミトコンドリアと水素の関係について述べています。

 

水素分子(H₂)には活性酸素を除去する抗酸化作用があるため、ミトコンドリアの機能低下を防ぐ働きがあるとされています。

 

ちなみに活性酸素とは電子と酸素が結びついた物質のことであり、体内の細胞のミトコンドリアが摂取した食物を一度電気 エネルギーに変換し、ATPと呼ばれる物質を生成する際に、どうしても発生してしまうものです。

 

また呼吸の際に取り入れる酸素の2%は、活性酸素になってしまうと言われています。

 

その活性酸素は酸化力が強いため、細胞の中のものを傷つけてしまうとされています。特に深刻なのは遺伝子を傷つけてしまうことであり、実は遺伝子の傷の蓄積こそが、老化の正体なのだといいます。

 

しかし水素分子(H₂)には、細胞内の必要な場所に素早く到達して、悪玉活性酸素である「ヒドロキシルラジカル」を選択的に除去するという特質があるとされているのです。

 

活性酸素は、ミトコンドリアが「ATP」と呼ばれるエネルギー通貨を生み出す際に、どうしても生じてしまうものだと先程述べましたが、酸素が電子を吸収する毎に、「スーパーオキシドラジカル」、「過酸化水素」、そして格段に酸化力が強いとされる「ヒドロキシルラジカル」と、だんだん過激な活性酸素になっていくといいます。

 

特に「ヒドロキシルラジカル」に関しては、「スーパーオキシドラジカル」の100倍もの酸化力を持つとも言われ、「悪玉」の活性酸素として、遺伝子や細胞膜を傷つける主な原因になっています。

 

しかし水素分子(H2)は「ヒドロキシルラジカル」を選択的に除去する日本医科大学教授の太田成男氏の研究チームによって明らかになったのです。

 

 水素の抗酸化力は適度なので、生体に必要な活性酸素を除去しないことが利点です

 活性酸素は全部悪者であるように思われることが多いのですが、生体で必要な活性酸素もあり、細胞の中で様々な役割を果たしています。例えば、精子の形成、血管の修復、傷の治癒などに必要で、身体を鍛えるのにも使われます。これを善玉活性酸素の酸化力は極端には強いわけではありません。

 水素の抗酸化力は、従来のビタミンCやEに比べると強くありません。従来の抗酸化物質は、すべての活性酸素を消去しますので、とりすぎに注意する必要があります。しかし、水素は、善玉活性酸素とは直接反応しないので、代謝を乱すことがないのです

 一方、水素は、酸化力が非常に強く破壊力が強い悪玉活性酸素と直接反応して消去します。(太田成男『ここまでわかった 水素水最新Q&A』p85~86

 

 

 培養細胞にアンチマイシンAという物質を添加すると、第4章でも述べた電子伝達系の複合体の働きが一部阻害されて、スーパーオキシドや過酸化水素が発生し、さらにそこからヒドロキシルラジカルもできてくる。それら活性酸素の発現量を、細胞の染色技術を駆使して測定しつつ、溶液に溶かした水素ガス(水素分子)を添加したときにどうなるかを調べた。すると水素ガスはヒドロキシルラジカルだけを選択的に減らすことが確かめられた。しかも水素分子はミトコンドリアの中だけでなく核の中のヒドロキシルラジカルも除去して、細胞のミトコンドリアと核の両方を守ることもわかったのである。(太田成男・瀬名秀明『ミトコンドリアのちから』

 

水素はミトコンドリアの異常を防ぐ

 

また太田成男氏は、水素水ブームの火付け役として知られていますが、元々はミトコンドリア研究の第一人者であり、水素の抗酸化作用の発見はミトコンドリア研究の一環だったと『ここまでわかった 水素水最新Q&A 続・水素水とサビない身体』のなかで述べられています。

 

 ミトコンドリアは、赤血球以外のすべての細胞にあって、エネルギーの素を作り出しています。同時に、ミトコンドリアからは体内で発する全体の90%の活性酸素が放出されます。

 水素が、あらゆる臓器であらゆる症状に効果がある、という従来の常識とは異なる概念を受け入れる感性は、ミトコンドリア研究、特にミトコンドリアの病気に関する研究によって培われました。

 ミトコンドリアに異常が生じた時は、全身に異常が生じますが、非常に複雑です。あらゆる臓器に、あらゆる時期に、あらゆる症状が複雑に生じるのです。

 そのため、水素が、あらゆる臓器に、あらゆる時期に、あらゆる症状を改善したとしても、ミトコンドリア病の症状を知っている私にとっては、受け入れやすい現象だったのです。(太田成男『ここまでわかった 水素水最新Q&A』p58~59

 

「ヒドロキシルラジカル」のような悪玉の活性酸素はミトコンドリアの機能低下の原因にもなりますから、もし水素によってヒドロキシルラジカルだけが除去されれば、その分、ミトコンドリアも元気に活動できるようになると考えられるのです。

 

また、水素分子が含まれた水素水が、アンチエイジングや万病予防に効果的だとして社会的なブームになりましたが、その理由には、細胞内のミトコンドリアの存在が深く関わっているといえます。

 

そのため、ミトコンドリアの健康法として、水素水を日頃から摂ることは有効であるように思われます。