免疫とストレス

ここでは免疫とストレスの関係について述べています。

 

過度のストレスを感じることは免疫力の低下の原因になりますが、では、そのストレスと免疫にはどのような関係があるのでしょうか?

免疫とストレス

まず、「ストレス」についてですが、ストレスとは分かりやすく言えば、外側からかけられた圧力によって、私たちの生体にひずみやゆがみが与えられることです。

 

また「ストレス」とは、もともと工学、物理学の分野で使われていた用語であり、外側からかけられた圧力に適応しようとして心や体に生じた様々な反応のことは、「ストレス反応」と呼ばれています。

 

そのため、ストレス自体は悪いものではないのですし、ストレスは歩く道がでこぼこしているのと同じように、長い人生を生きていくうえで避けて通れないものなのですが、問題なのは、必要以上のストレスは免疫機能に影響し、免疫力を低下させてしまうことだと考えられます。

 

 私たちの体は、免疫機能(「免疫能」という)が正常にはたらくことによって、多くの病気を防いだり、発病しても悪化を防いでいます。

 ということは、免疫機能が活発にはたらいている人は病気に強く、あまり活発にはたらかない人は病気にかかりやすい、あるいは病気が悪化しやすいということがいえます。

 ところが、さらに最近の研究によって、ストレスがこの免疫能、あるいは免疫反応に深くかかわっていることが、わかってきました。ストレスにより、免疫能、あるいは免疫反応が低下するのです。その結果、感染に対して防御力が低下することはいうまでもなく、ガンにかかりやすくなったり、またガンの進行を早めたりする、というのです。(星恵子(『ストレスと免疫』p54

ストレスと免疫

ストレス反応とは?

また、からだがストレスを感じると、副腎皮質や副腎髄質からコルチゾールやアドレナリンが分泌され、ストレス反応に対処しようとします。このことは「闘争か逃走か」という、ストレスに対する生体の適応現象です。

 

ちなみのこの生体反応は、内分泌系と自律神経系に分かれます。大ざっぱにいえば、突然車が迫ってきて事故に遭いそうな時など、急な危機に遭遇した場合は「アドレナリン」というホルモンが、人間関係などでじわじわとストレスを感じる場合は、ストレスホルモンである「コルチゾール(コルチコイドの一種)」が分泌されてストレスに対処しようとします。

 

ストレス反応の抵抗期の体内の反応

 

内分泌系

 

脳下垂体

 ↓

副腎皮質刺激ホルモン

 ↓

コルチコイド

 ↓

体細胞

 

自律神経系

 

自律神経

 ↓

副腎髄質

 ↓

アドレナリン

 ↓

体細胞

 

 

大切なのは、自分がストレスとどう向き合うか?

 

しかし私たちが生きていくうえで問題になってくるのは、人間関係や過剰労働などによって必要以上にストレスを感じてしまうことです。

 

また、現代社会は電磁波や食品添加物、化学物質など、からだがストレスだと感じるものが増えてきていますが、そのことは活性酸素の増大を促し、ミトコンドリアに悪影響を与えることでからだの老化や生活習慣病の原因にもなってしまいます。

 

さらに過度のストレスは自律神経のうちの交感神経ばかりを優位にしてしまい、そのことが免疫力の低下にもつながってしまいます。

 

したがって、免疫力の低下を防ぐためには、リラックスを心がけるなどのストレス対策が必要になってくると考えられます。

 

そして、医学博士の星恵子氏が『ストレスと免疫』のなかで、

 

「ストレスは、ストレッサーがなんであれ、また、体内で免疫系がどのようにはたらくかは別にして、「心のひずみ」といいきることができます」「ストレスに対処する方法としては、まず心のもちようから考えてみる必要があると思います」

 

と述べている通り、心(メンタル)の持ち方によって、ストレスによる身体への影響は変わってきます。

 

そのため、ストレスによって病気にならないためには、自分自身のストレスとの向き合い方が非常に大事なってくると考えられます。

 

つまり、自分が「ストレス」というものとどう向き合うか、「心の免疫力」が、免疫力の低下を防ぐためのストレス対策として重要なのです。