『新・免疫革命』(﨑谷博征 著)

ここでは、『新・免疫革命 免疫の本質は《お掃除》にあり』(﨑谷博征 著 鉱脈社)という一冊を、免疫力と生命力の関係を考えるために紹介しています。

『新・免疫革命 免疫の本質は《お掃除》にあり』

新・免疫革命 免疫の本質は《お掃除》にあり』(﨑谷博征 著 鉱脈社)は、ヒトの免疫システムを「生命場」から捉えるための格好の一冊だといえます。

 

ヒトの免疫システムというと、従来、「病原微生物を根絶する」「〝自己(self)〟と〝非自己(non-self)〟を区別する」という捉え方がなされてきましたが、﨑谷博征医師は、「免疫システムなるもの」は、「「形態形成維持(morphostasis)」のほんの一部分を切り取っただけ」に過ぎないとしています。

 

 

また、免疫というと自然免疫と獲得免疫に分類されますが、そのように分類するのも「時代遅れ」だといいます。

 

 私たちヒトという生命体は受精卵という単一細胞から六〇兆個ともいわれる多細胞生物へと変態していきます。その過程で生命体を成り立たせる営みが「形態形成維持」です。

 現代医学では近年益々複雑化している免疫システムなるものは、本編で詳述しますが、この「形態形成維持(morphostasis)」のほんの一部分を切り取っただけに過ぎません。そして、難病の原因といわれる炎症や〝免疫の暴走〟といわれる現象は、「形態形成維持」の失敗で起こる病的過程です。したがって、まずは、「形態形成維持」という生命の基本設計を根本から理解することが最重要になります。

 

(﨑谷博征『新・免疫革命』p4~5)

 

﨑谷博征『新・免疫革命』

溜まったゴミが細胞にダメージを与える。

 

﨑谷博征医師の『新・免疫革命』を一読してみると、アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、膠原病、慢性炎症、がんなど、治療が難しい病気に悩まされる方が急増している理由が判明してきます。

 

 

たとえば、慢性病の原因は、生体内に「ゴミ」が溜まることが関係しているということです。

 

 私たちの体(心身)は、ゴミを嫌います。体に不要物が蓄積するとやがて生体毒に変化していきますが、これを解毒する肝臓の能力には一定の限界があるからです。(中略)日常生活でも家の中に生ゴミが貯まると腐敗して、もはや悪臭で住めなくなりますが、これが生体内でも起こっていると考えていただけるとイメージしやすいでしょう。

 これは細胞レベルでもまったく同じで、細胞は周囲の〝場〟にゴミが貯まらないように細心の注意を払っています。ゴミが細胞にとってダメージを与えるかそうでないかは、細胞自身によって判断されています。これを細胞の自己監視機構(self-surveilance)といいます。

 

(﨑谷博征『新・免疫革命』p78)

﨑谷博征『新・免疫革命』 鉱脈社
﨑谷博征『新・免疫革命』 鉱脈社

さらに、「形態形成維持」という観点から免疫を考えると、「免疫力を高める」ということについても、これまでと違った見方が出来るようになると思います。

 

 環境の変化に対応して生命体の姿を形成・維持していくことを形態形成維持(morphostasis:モーフォステイシス)といいます。形態形成維持は、環境に適応して生命体の姿を発展・維持していく営みです。その形態形成維持の中心が食作用(ゴミ処理)なのです。

 

(﨑谷博征『新・免疫革命』p82)

 

 現在の免疫に関する治療は、自己組織に反応するリンパ球にダメージを与えたり、炎症のシグナルをブロックしたりするものが主体です。これは、暴走した免疫システムを実体(entity)のある異物のように捉える現代医学の過ち(単純な因果関係に落とし込む線形思考)から由来しています。ガンに対する治療もまったく同じです。

 

(﨑谷博征『新・免疫革命』p194)

 

 あらゆる慢性病に免疫システム(本当は形態形成維持システムと呼ぶ方がよい)の異常が絡んでいますが、この問題も生命場に焦点を移さないと本質が見えてきません。免疫細胞が作用している生命場を落ち着かせれば、形態形成維持に向かって免疫細胞が働きだします。生命場を落ち着かせ、エネルギー代謝を回すことで、根本原因のみならず、症状を悪化させている暴徒たちも鎮静することが可能になります。免疫も「場の理論」が本質なのです。

 

(﨑谷博征『新・免疫革命』p195)

 

今回ご紹介した『新・免疫革命 免疫の本質は《お掃除》にあり』(﨑谷博征 著 鉱脈社)は、これまでの免疫に対する考え方を覆す一冊となっていますので、免疫というものに深い関心がある方は実際に手に取って何度も読んでみていただきたいと思います。