ミトコンドリアのATPとは何か?

ここではミトコンドリアが作り出すATP(アデノシン3リン酸)とは何か、ということについて述べています。

ミトコンドリアが作り出すATP(アデノシン3リン酸)とは何か

 ATPはヒトから細菌に至るまで、生命活動のさまざまな場面で、エネルギーを受け渡します。その汎用的な役割から「エネルギー通貨」といわれています。エネルギーが使われると、ATPは別の物質になりますが、すぐにつくり直されます。成人が1日に消費するATPを合計すると、なんと数十キログラムにもなります。ATPは生物が再生しながら多量に消費する重要な化合物なのです。

 

(二井將光『生命を支えるATPエネルギー』 講談社ブルーバックス p3~4)

ミトコンドリア免疫力を高めるための中心的な存在だといえますが、私たちは、ミトコンドリアが作り出す「ATP」(アデノシン3リン酸)と呼ばれる化合物によって生命活動を維持しているといっても過言ではありません。

 

また、様々な用途に利用できる共通エネルギーとして生み出されたATPは、ヒトだけではなく、ほとんどの生物に共通した化学的エネルギー物質です。

 

ちなみにATPは私たちが食事や呼吸を行うことでミトコンドリアによって作られますが、蓄えておくことは出来ないため、1日に延べ50~100kgほどのATPが作られては消費されています。そのためATPは「エネルギー通貨」とも呼ばれています。つまりATPは体内で必要に応じてエネルギーとして使われるのです。

ATP

そしてこのATPは酸素を利用しない解糖エンジンと呼ばれる仕組みでも作られますが、その際はたったの2分子です。しかしミトコンドリア内部の電子伝達系・酸化リン酸化という処理を経ると、最終的に38分子ものATPが作られます。

 

ちなみにたまに耳にすることがあるクエン酸回路(TCA回路)とは、解糖で作られたピルビン酸が、酵素によってアセチルCoAという物質に変化するのですが、そのアセチルCoAを酸化してエネルギーを生み出す仕組みのことです。

 

このような仕組みは「ミトコンドリアエンジン」と呼ばれていますが、ヒトが進化すると共に、複雑な様々な活動を行えるようになったのは、このミトコンドリアによるATP産生のメカニズムによって大量のATPが作られるようになったからなのです。