DHAのうつを改善する効果

ここではDHAのうつを改善する効果について述べています。

 

日頃の食生活において、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA・α‐リノレン酸)をたくさん摂るようにすることは、免疫力を高めてうつの症状をやわらげていくために大切になってきます。また、サラダ油や加工食品に多く含まれているオメガ6のリノール酸を減らしていき、オメガ3脂肪酸とバランスが1:1になるよう目指していくことも、うつの症状を改善するためには必要になってきます。

 

特にDHAの重要性について、たとえば、薬学博士の生田哲氏は、『心の病は食事で治す』のなかで以下のように述べています。

 

 魚油の抗うつ効果は奇跡としかいいようがない。ここでいう魚油は、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)のことで、どちらも脳の神経細胞の膜や伝達物質の受容体の膜の成分だが、サプリメントとして摂取した場合の抗うつ効果は、DHAがEPAよりも高い。これは、DHAのほうがEPAよりも脳の関所である血液‐脳関門を楽に通過できることとよく一致している。(同 p186

 

 では、魚油はどんなしくみで落ち込んだ気分を高めるのだろうか。この謎を解く鍵は、脳内におけるオメガ3脂肪酸のはたらきが握っている。

 こういうことだ。脳では神経細胞がネットワークを形成し、一方の神経細胞が投げた伝達物質というボールを、もう一方の神経細胞の構えるミットである受容体にキャッチしてもらい、情報伝達が伝わる。また、ブドウ糖、ホルモン、ビタミンなども受容体に受けとってもらってはじめて、神経細胞の内側に取り込まれて活用される。(同 p186

 

 伝達物質、ブドウ糖、ホルモン、ビタミンなどさまざまな物質が、受容体に受けとってもらい、つぎに神経細胞に取り込まれて利用される。そして大事なことは、受容体の形は受け取る物質ごとに決まっていて、物質が受容体にピッタリおさまったときだけ神経細胞に取り込まれることだ。だから、受容体は、流れてくる物質を捕らえる瞬間、物質を正確にキャッチするために、微妙に形を変えねばならない。(同 p186~187

 

 もしこの膜が魚油(オメガ3脂肪酸)でできたやわらかいものなら、キャッチの瞬間、膜がうまくすべって受容体の形を調整する。しかしもしこの膜が、ラード(豚脂)やヘット(牛脂)などを主成分にしてできた硬いものなら、キャッチの瞬間、膜がうまくすべらない。このため、受容体はうまく形を整えることができないこともある。このとき、伝達物質やビタミンB群を捕らえ損ねてしまう。(同 p187

生田哲『心の病は食事で治す』
生田哲『心の病は食事で治す』

つまり、DHAがうつの改善や心と脳の健康維持のために必要なのかと言えば、その理由は、脳の神経細胞のネットワークにおいて、一方の神経細胞が投げた伝達物質というボールを、もう一方の神経細胞の構えるミットである受容体にキャッチする際、よりうまくキャッチするのは、オメガ3脂肪酸で出来た柔らかい膜だからです。

 

また、ブドウ糖、ホルモン、ビタミンなども受容体に受けとってもらうことで初めて、神経細胞の内側に取り込まれて活用されることになるため、伝達物質、ブドウ糖、ホルモン、ビタミンなど様々な物質がきちんとキャッチされるためには、オメガ3脂肪酸をしっかりと摂ることが重要になってくるのです。

DHA・EPAには脳の炎症を抑える効果がある

さらにDHAには脳の炎症を抑える効果があるとされています。

 

実はうつの症状は脳に起きている慢性的な炎症と深く関係しているという指摘が、近年、多くの専門家たちの間でなされるようになってきます。

 

その炎症とは、かゆみや痛みなども引き起こす体内で起こった火事のようなものですが、アメリカの神経科医であるデイヴィッド・パールマター氏やジーン・カーパー氏は、糖質やグルテン、サラダ油に多く含まれているオメガ6脂肪酸などが、脳に炎症を起こす引き金になると述べています(詳しくは「脳の炎症を防いでうつ病改善」のページをご覧ください)。

 

しかし、この炎症を抑える働きがあるのがDHAをはじめとしたオメガ3脂肪酸なのだというのです。

 

 人間の脳はその重さの三分の二以上が脂肪であり、そのうちの四分の一がDHAである。そしてこのDHAは抗炎症作用を持っていて、体に負担がかかるような食事をとると、体を守るために戦士のように戦ってくれる。たとえば、グルテンに反応して起こる腸の炎症を抑えたり、糖質(とくにはちみつや果物に含まれる果糖)たっぷりの食事による悪影響を防いだり。さらに、炭水化物を摂りすぎて脳の代謝が低下するのを防いだりする。(デイビッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ『「いつものパン」があなたを殺す』 p252~253

 

 魚の油は、脳血管や脳細胞で炎症を抑制することでも、脳を強力にガードしてくれている。専門家のあいだでは、炎症は脳の組織や機能の破壊の原因になり、脳卒中やアルツハイマー病を進行させるという認識が高まっている。炎症を誘発して血管にダメージを与えたり細胞間の情報伝達を妨害するホルモン様物質であるプロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカインの生成を、オメガ3は抑えてくれる。オメガ6を多く含んだ油(コーン・オイル、紅花油、ひまわり油、大豆油など)を摂る量が多いほど、オメガ3の摂取量も増やさないと、炎症を抑えにくくなってしまう。(ジーン・カーパー『奇跡の脳をつくる食事とサプリメント』丸本淑生訳 p104~105

 

このように、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA・α‐リノレン酸)は、脳の炎症を抑えるのに有効だとされています。

 

もちろん、オメガ3脂肪酸をたっぷり摂れば、それだけでうつの症状が劇的に改善されるというわけではないと思いますが、日頃の食生活において、DHAやEPAが不足しないように心がけることは、脳の炎症を抑えることでうつの症状を少しでもやわらげていくためには大切だと考えられるのです。

 

DHAとEPAの不足を解消するには?

 

しかし、現代の日本人の食生活は、DHAやEPAがたっぷりと含まれている青魚を摂る機会が減り、代わりにファストフードや加工食品、加工肉などからオメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸などを摂り過ぎてしまっています。

 

したがって、脳と心の健康を保つために重要になってくるのは、オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸を減らし、代わりにオメガ3脂肪酸を多く摂るようにすることです。

 

ちなみに冒頭でも述べましたが、オメガ3とオメガ6の割合は「1:1」(もしくは「1:2」)が理想だとされています。

 

ところが、「DHA」や「EPA」などのオメガ3脂肪酸は1日の1000mg程度摂る必要があると言われているため、青魚を食べる習慣がほとんどなく、特に油の摂り方にも気をつけていないという方は、慢性的なDHA不足に陥っている可能性があります。

 

そのため、普段の生活でオメガ3脂肪酸を十分に摂れていないという方は、DHA・EPAサプリメントから手軽に摂取したり、α‐リノレン酸が体内でDHAとEPAに変換される、亜麻仁油やえごま油を食卓に採り入れることで、慢性的なDHAとEPAの不足を解消されることをオススメします。

 

以上、DHA・EPAのうつの症状を改善する効果について述べてきましたが、うつの症状を改善していくためには、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA・α‐リノレン酸)をたっぷり摂ることが大切になってきますので、ぜひ普段からオメガ3脂肪酸の摂り方に気をつけてみてください。

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DHA・EPAのうつの症状を改善する効果