ところでMCTとは飽和脂肪酸の一種である「中鎖脂肪酸」のことです。

ちなみに飽和脂肪酸とは、脂肪酸のうち炭素同士の二重結合を持たない脂肪酸のことです。

飽和脂肪酸には短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸などがありますが、中鎖脂肪酸は、赤身肉やバターなどに含まれている長鎖脂肪酸よりもエネルギーになりやすく、脂肪として体に溜まりにくいという性質があります。

また中鎖脂肪酸には代謝そのものを高める働きもあるとされており、他の食品のカロリーも一緒に燃やしてくれるとされています。

そのため、普段何気なく使っているサラダ油などの植物油の代わりに中鎖脂肪酸を摂るようにすることは、ダイエットに効果的ですし、代謝自体も高まってくるため、エネルギーに溢れた日常生活を送れるようにもなることにもつながっていきます。

特にこの中鎖脂肪酸に関しては、自然療法医のブルース・ファイフ氏が、

「摂取する長鎖脂肪酸を中鎖脂肪酸に替えると、体重増加が抑えられ、脂肪沈着が減少することは、動物や人間を対象とした数々の研究で実証されている」

「中鎖脂肪酸は体の代謝作用を加速させ、より多くのカ ロリーを燃焼させる」

と述べています（『ココナッツオイル健康法』）。

それに加えて、この中鎖脂肪酸によって生成される「ケトン体」と呼ばれるエネルギー源は、ブドウ糖の代わりに脳に使われると言われています。

　のため糖質制限と共に行う「ケトン体療法」は認知症やアルツハイマー病を予防したり改善したりするのに効果的であるとして、近年、治療の現場でも注目されるようになりました。

さらに中鎖脂肪酸に免疫力も高めてくれます。

中鎖脂肪酸には人間の体内で有害な働きをする微生物のみをやっつける働きがあると言われていますが、その中鎖脂肪酸に含まれるカプリル酸やカプリン酸にはカンジダ菌などに作用する抗菌作用があるといわれています。

そのため、中鎖脂肪酸には代謝を高めてダイエットに高い効果を発揮したり、認知症を予防したりする以外にも、免疫力を高めて細菌による感染症を予防する働きもあるのです。