自律神経のうちの副交感神経を優位にしたい場合、以下のような方法が有効です。
基本的に副交感神経はリラックスして身体がゆるむと働くようになります。一方、自律神経のうちの交感神経は、緊張や不安を感じたり、時間に追われたりすると優位に働くようになります。
そのため、副交感神経を働かせることで自律神経のバランスを整えるには、精神状態がゆとりをもつことが重要になってきます。
順天堂大学教授の小林弘幸氏は、「「余裕」を持った行動をしているかどうかが、実は自律神経のバランスに大きな影響を及ぼす」とのべています。
常に焦ったり、不安な気分に陥ったりしていると、交感神経ばかりが優位になって、自律神経のバランスが崩れて、自分の本来のパフォーマンスを発揮できなくなることも考えられます。
したがって、心に余裕を持ち、何でも早くしなければならないと思いがちになっている時こそ、ゆっくりとした行動を心がけてみることが大切になってきます。
なかなかそれが出来ないから困っているという方は、焦りや緊張を感じた際、深い呼吸をしてみることをおすすめします。なぜなら、深呼吸をすると、腹圧によって横隔膜が上下し、そのことがリラックス効果をもたらしてくれるからです。実は横隔膜は副交感神経とつながっているのです。
つまり、呼吸を深めることは緊張状態やストレスの緩和に役立つのです。
ちなみに深い呼吸をするコツは、吸うよりも吐く方の息を長くし、息を吐ききったら、さらにお腹を背中の方に奥深く押し込むようにして「ふっ、ふっ、ふー」と吐くことです(参考 矢山利彦『気の人間学』)。
呼吸法に関してはこちらのページもご覧ください。
そのほか、副交感神経を働かせるには「身体をゆるめる」ことも大切です。
もうひとつ副交感神経を働かせることで大切なのは睡眠です。
自律神経の研究を行っている小林弘幸氏は、「自律神経には日内変動があり、ふつうは夕方から夜にかけて副交感神経のレベルが上がり、やや副交感神経優位な状態になります。ところが、徹夜で仕事するなど本来なら副交感神経が優位になる時間帯に交感神経を刺激することばかりしてしまうと、副交感神経が上がるタイミングを失ったまま交感神経が上がる朝の時間帯に突入してしまうため、何をしても副交感神経が上がらない状態になってしまうのです」と述べています。
(参考 小林弘幸 『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』)
そのため、十分な睡眠をとるようにすることは、副交感神経を優位にさせ、自律神経のバランスを整えるために必要なことなのです。