アミノ酸の免疫力効果

ここではアミノ酸免疫力効果について述べています。

 

人体を構成する筋肉や骨、皮膚、髪、爪、歯などの、おもな材料になっているのはタンパク質です。またタンパク質はセロトニンをはじめとしたホルモンの材料にもなっています。

 

そのため、からだとこころの免疫力を維持するためには、タンパク質をきちんと摂っていかなければなりません。

 

そして、このタンパク質を構成している成分がアミノ酸なのです。

 

細胞を傷つける活性酸素を抑制する機能が備わっている酵素として知られるSOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)や、白血球中のNK(ナチュラルキラー)細胞をはじめとする免疫細胞はアミノ酸から作られているため、免疫力を維持して健康な生活を送るためにはアミノ酸は欠かせません。

 

アミノ酸は自然界では500種類ほど発見されていますが、その中で人間の身体のタンパク質を構成しているのは20種類です。

 

11種類は体内で合成することが出来ますが、9種類は体内で合成出来ないため、「必須アミノ酸」と呼ばれています。残りの11種類は「非必須アミノ酸」とされていますが、おろそかにしていいわけではなく、どちらのアミノ酸も健康維持に重要な役割を担っています。

 

必須アミノ酸と残り11種類の非必須アミノ酸が複雑に組み合わさることで、10万種類もの様々なタンパク質が作られているとされます。肉や魚や豆類などを食べると、そのタンパク質は20種類のアミノ酸に分解され、体の中で、再びタンパク質に組み換えられます。

 

アミノ酸を豊富に含んでおり、特に必須アミノ酸スコアが高いとされている主な食品は、あじ、さけ、かつお、鶏卵(全卵) 牛乳(生乳) ヨーグルト、チーズ、そば、ベーコン、しじみ、大豆などです。

 

また、アミノ酸は過剰に摂取し続けると、特定のアミノ酸が血液中に過剰になり、さらに細かいレベルに分解して身体の外へ排泄する作業が必要になるため、腎臓や肝臓に負担をかけることになります。

 

さらにタンパク質を消化酵素によってアミノ酸に分解できないまま消化不良のまま腸に止まり続けると、人体に大変有害な窒素残留物へと変化し、腸内環境を悪化させてしまうため、肉類の食べ過ぎなどには注意が必要です。

 

アミノ酸の働き

 

①アミノ酸は、細胞、組織、臓器をつくることで、生体を構築している。

②アミノ酸は、人体のすべての箇所を成長させ、傷んだ箇所を修復するのを助ける。

③アミノ酸は、食物の消化に必要な酵素だけでなく、伝達物質やホルモンの生産に欠かせない酵素の構成成分となっている。

④アミノ酸は、脳内の伝達物質、内分泌系の伝達物質であるホルモン、免疫系の伝達物であるサイトカインとしてはたらき、脳、内分泌系、免疫系をつないでいる。

⑤ブドウ糖の原料になる糖類が不足したときなど、必要に応じて、アミノ酸はブドウ糖に変換されてエネルギーとして利用され、ブドウ糖がつながったグリコーゲンとなって肝臓に貯蔵される。

(生田哲『心の病は食事で治す』p109)

 

また薬学博士の生田哲氏は、アミノ酸はうつ病や不安障害といった心の病を予防するためにも、不足しないようにすることが大切だと述べています。

 

 わたしたちの発生源であるアミノ酸が正常レベルを下回れば、たいへん困ったことになる。こういうことだ。まず、アミノ酸そのものが伝達物質になる。つぎに、アミノ酸は短い工程で伝達物質のアミンに変身する。そして、アミノ酸がいくつかつながれば伝達物質のペプチドができる。これらの伝達物質は、わたしたちに快感、痛みの緩和、免疫系の強化、老化への抵抗力を与えてくれる。

 したがって、アミノ酸は、うつ病、不安障害、記憶障害など多くの心の病の治療に活用できる。あなたが、脳内でのアミノ酸のはたらきを深く知れば知るほど、その不足が脳内物質のインバランスを引き起こすことを納得されるにちがいない。(生田哲『心の病は食事で治す』p106

 

 脂肪と異なり、アミノ酸は身体に蓄えることができないので、ほぼ毎日、タンパク質を摂らねばならない。その量だが(略)成人は体重一キログラムあたり毎日一グラムのタンパク質を摂らねばならないことが判明している。これは、成人女性なら一日に約五〇グラム、成人男性なら約六〇グラムに相当する。

 必須アミノ酸を脳に供給するには、これらをふんだんに含んだ良質なタンパク質を摂るに限る。(生田哲『食べ物を変えれば脳が変わる』p109