鉄の免疫力効果

ここでは鉄の免疫力効果について述べています。

 

鉄は酸素の運搬と貯蔵に関わる重要なミネラルです。そのため、鉄の免疫力効果としては、貧血予防や疲労回復効果などが挙げられます。

 

主に鉄は小腸上部から吸収された後、血液中のトランスフェリンと呼ばれる糖たんぱく質と結びついて、骨髄、肝臓、脾臓などの臓器へ運ばれて貯蔵されます。

 

成人の体内には鉄は約4.2g含まれていますが、その65%は赤血球のヘモグロビンと結合し、肺から取り込んだ酸素を全身の細胞に供給しています。3~5%は筋肉のミオグロビンと結合し、酸素の運搬と貯蔵を行っており、0.3パーセントは鉄含有酵素に結合して、代謝反応に関わります。

 

残りの約30%の鉄は貯蔵鉄として肝臓や骨髄、脾臓に蓄えられ、出血などで鉄が失われた際に利用されます。

 

また、鉄の大部分は体内に吸収されると、骨髄で赤血球の合成に使われるようになりますが、赤血球の寿命は約120日であるとされ、寿命がくると脾臓で赤血球は破壊されます。

 

破壊された赤血球の鉄は、繰り返し赤血球の合成に再利用されるため、体内に取り込まれた鉄が体外に排泄されることはほとんどありません。ただし、女性は月経によって毎月鉄が失われるので注意が必要です。

 

鉄不足は免疫力低下に関わる

 

さらに鉄は免疫力に関わる白血球の働きに関係しており、鉄が不足すると免疫力が低下してしまいます。

 

体の外から様々な細菌やウィルスが侵入してくると、まずは免疫細胞であるリンパ球や白血球が出迎えます。体の免疫機能の最前線に立っているのはこのリンパ球や白血球で、細菌やウィルスを攻撃してくれるのですが、鉄が欠乏しているとこれらの最前線の働きが鈍くなり、感染に対する抵抗力が低下してしまうとされています。

 

そのため、インフルエンザやノロウイルス、風邪などの感染症にかかりやすくなってしまいます。

 

ちなみに、鉄が不足すると、吸収率は高まるため、貯蔵鉄が少ない子供や女性の吸収率は一般的に男性よりも高いと言われています。

 

ところで、食品に含まれる鉄はヘム鉄(二価鉄)と非ヘム鉄(三価鉄)に分けられ、ヘム鉄の方が非ヘム鉄より吸収率が約5倍高いと言われています。ヘム鉄は主に赤身の魚肉や畜肉に含まれ、ヘモグロビン、ミオグロビンに由来しています。

 

非ヘム鉄は卵や豆類、緑黄色野菜に含まれていますが、非ヘム鉄は溶解性の高い鉄に変えてくれるビタミンCと一緒に摂ると、吸収率が高まります。ですが、フィチン酸やシュウ酸、タンニンなどは非ヘム鉄の吸収を低下させます。

 

鉄は動物のレバーや赤身の肉、貝類、小魚、大豆、ほうれん草や小松菜などに多く含まれていますが、特に鉄を多く含んでいる食品としては、豚レバー、鶏レバー、シジミやあさりなどがあります。

 

欠乏症については、鉄欠乏性貧血があり、めまいや立ちくらみ、動悸などのほか、免疫力と感染抵抗力の低下などといった症状も現れています。

 

また、過剰摂取に関しては、腸管で吸収量が調節され、余分な鉄は体外に排出されるために過剰になることはありませんが、サプリメントなどで摂り過ぎた場合は、便秘や胃腸障害が起こるといわれています。

 

以上が鉄の免疫力効果についてです。

鉄の免疫力効果