キラーストレスとは何か?

ここでは「キラーストレスとは何か?」ということについて述べています。

 

日常生活においてストレスを慢性的に感じ続けることは、自律神経のバランスが崩れることによって免疫力の低下につながるため、なるべく避けた方が良いと考えられます。

 

特に怖いと思われるのは「キラーストレス」です。

 

この「キラーストレス」は、NHKスペシャル取材班によって作られた言葉ですが、この「キラーストレス」とは分かりやすくいえば、慢性的に続くことで多くの病気をもたらし、下手をすれば命の危険まで引き起こしてしまうストレスのことを指すと考えられます。

免疫力の低下を引き起こすキラーストレスとは?
免疫力の低下を引き起こすキラーストレスとは?

 ストレスを甘くみてはいけないのだ。ストレスはある条件が重なると、命を奪う病の原因へと形を変えていく。私たち取材班はこのストレスを「キラーストレス」と名づけ、その正体を追うことにした。NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』p25

キラーストレス 心と体をどう守るか

 いまから数万年前。私たちの祖先がもっぱら狩猟で生きていた頃、周囲には、多くの点適が潜んでいた。どう猛な動物にいつ襲われるか分からない。万一、出会ってしまったときはどうするか。命がけで闘うか、もしくは必死で逃げるしかない。このような追いつめられた場面で威力を発揮したのが、「ストレス反応」だ。

(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』p27)

 

 人間の体は危険に遭遇したとき、心拍数が増え、血圧が上がるようにできている。また、肝臓から糖が放出されて血糖値が上昇すれば、エネルギー源が全身に供給される。闘う姿勢、逃げる態勢の双方が、瞬時に準備されるのである。

 このように、ストレス反応とは、私たちの祖先が「命をつなぐために進化させた大切な体の機能」だったのだ。

(同 p27~28)

 

 現代社会に生きるわれわれが、天敵に出会って命を脅かされるような事態に直面することはまれだ。ジャングルにでも出かけない限り、猛獣に襲われることはまずない。

 一方、現代では、精神的な重圧によって、扁桃体が反応するような事態が引き起こされてしまうのである。これこそ、私たち現代人を悩ませているストレス反応の正体なのだ。

(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』p37)

 キラーストレス 心と体をどう守るか
『キラーストレス 心と体をどう守るか』 NHKスペシャル取材班

キラーストレスと心の病の関係

特にNHKスペシャル取材班による『キラーストレス 心と体をどう守るか』によると、血圧の上昇など「体」のストレス反応が強くなる「頑張るストレス」よりも、「心」のストレス反応が強くなる「我慢するストレス」が、うつ病などの心の病との関係において問題になってくるというのです。

 

 心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」だ。

 コルチゾールは、副腎から分泌されると、血流にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たす。役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収される。これが、正常なストレス反応の流れである。

 ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまう。こうなると、状況が一変する。コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのだ。まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのである。

(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』p48~49)

キラーストレス 心と体をどう守るか

キラーストレスに対抗するためには、自分なりのストレス対策が必要

また、NHKのウェブサイトには、

 

「一つ一つは小さくても、多くのストレスが重なると、キラーストレスともいうべき危険な状態に陥ります。」

 

「血管が破壊され、脳卒中や心筋梗塞、大動脈破裂を引き起こします。」

 

「最新の研究では ストレス反応は、心臓の筋肉を流れる血液が減少し心不全を引き起こす、がんを悪化させる、体内に入った細菌を増やして血管の破壊を起こすなど、命に関わることがわかってきました。」

 

とありますが、このように、キラーストレスは免疫力の低下を引き起こし、うつ病をはじめとして、様々な病気を引き起こす原因になるのです。

 

そして、そのキラーストレスに対抗するためには、自分なりのストレス対策が必要になってくるのですが、番組では「マインドフルネス瞑想」や「コーピング」などがストレス緩和の方法として紹介されていました。