認知症予防は40代・50代から

ここでは認知症予防40代・50代から行うことが大切な理由について述べています。

 

認知症を40代・50代から予防するために必要な3つの要素は、

 

  • 食生活の改善
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠

 

です。

40代からの認知症予防は食事・運動・睡眠が大切
40代・50代からの認知症予防は食事・運動・睡眠が大切です。

特に食事において40代・50代からアルツハイマー型認知症を予防するためには、まず自分の出来る範囲で、白砂糖や果糖ブドウ液糖、終末糖化産物「AGE」(AGEs)などを日頃の食生活から減らしていく「糖質制限」が重要です。

 

「糖質制限」と聞くと、「糖質ゼロは危険だ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで述べようとしている「糖質制限」は、血糖値の急上昇や乱高下を防ぎ、糖尿病やアルツハイマー型認知症の発症を防ぐために必要なことだと考えていただきたいと思います。

 

その「糖質制限」のメカニズムについて、『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』(森下竜一・桐山秀樹 著)の中で、以下のように述べられています。

 

 糖質制限のメカニズムは、シンプルである。

 人間の三大栄養素と呼ばれる糖質、タンパク質、脂質のうち、血糖値を上昇させるのは、基本的に糖質のみ。特に白いごはん、白いパン、精製した「白い炭水化物」を短時間にドカ食いするスタイルで摂ってしまうと、血糖値が急上昇する。そのままでは危険なので、それを降下させるため、膵臓からインスリンの追加分泌が大量に起こる。

 また、1日3日の食事に加えて、間食やおやつなどで間断なく糖質を摂り続けると、その都度、血糖値が上昇し、それを降下させるたびにインスリンが分泌される。その際、血管内では、グルコース・スパイクと呼ばれる激しい血糖値の乱高下が起こり、高血糖状態が続くことで、血管内の内皮が傷つけられる。傷口にふたをするために、血栓が付着して、動脈硬化などの原因となっていく。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p77

 

 糖質の過剰摂取→血糖値の上昇→インスリンの追加分泌の連続→皮下脂肪・内臓脂肪が腹囲に蓄積→インスリン抵抗性の増大→インスリンの分泌し続ける膵臓の疲弊→血液中の血糖値の日常的な上昇→高血圧、脂質異常症、糖尿病の発症→そして脳内のβアミロイドの蓄積――。

 こうした「負の連鎖」によって、最後は糖尿病からアルツハイマー病の発症に至る。それを断ち切ってくれるのが糖質制限なのである。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p77~78

『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』
森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』

認知症予防は30代からでもOK

また、『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』の中では、認知症予防対策のための糖質制限は、40代・50代からではなく30代からが大切だとされています。

 

 一般的に30代は消費されるエネルギーの約7割を占める基礎代謝力が高いが、現代の苛酷な競争社会や厳しい労働環境、そしてファストフード店の頻繁な利用や深夜の食事などで食生活のリズムが乱れて、肥満やメタボリック・シンドローム、さらには糖尿病を引き起こす人が増えてきた。

 その原因のひとつが、糖質の摂り過ぎだ。

 だが、30代の若い頃は動き回る機会も多く、糖尿病患者でもない限り、あまり極端な糖質制限を行う必要はない。

 すなわち、白く精製した白米、パン、麺類、砂糖などを避け、できるだけ玄米や五穀米などの茶色い全粒穀物を摂るようにする。また、血糖値の上がりにくいGI値の低いものを意識して摂るようにしよう。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p178~179

 

このように、30代のうちから、軽い糖質制限を意識した食生活を行うことは、40代・50代にかけて、血糖値のコントロールが難しくなるのを防ぐことになり、そのことが、アルツハイマー型認知症の予防にもつながっていくと考えられるのです。

 

40代での糖質制限

 

では40代からの糖質制限で注意すべき点は何でしょうか?

 

『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』の中では40代からの糖質制限について以下のように述べられています。

 

 40代に入って大きな差が表れ始めるのは、基礎代謝が落ちて太りやすくなり、活性酸素によって身体の老化現象が進み始めているからである。

 したがって40代に入って太り始めたら、糖質制限の内容を30代よりも少し強化したい。そして野菜などを先に食べる「食べる順ダイエット」や、しっかりと噛んでから呑み込むように意識し、ゆっくりと食べることも心がけたい。

 できれば、家族と談笑しながら、楽しんで食事をすることが若い頃よりもさらに重要になる。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p180~181

 

また、特に40代で気をつけることは、「40代になったら、何を食べるかだけでなく、誰とどう食べるかが重要になってくる」ため、楽しんで食事をするよう心がけることだと言います。さらに、そのほうが太りにくいのだそうです。

 

認知症予防のために特に重要な50代の糖質制限

 

最後に50代での糖質制限についてですが、30代、40代で糖質制限をおろそかにしてしまったり、30代・40代と同じような食生活を送ってしまったりすると、高血糖に悩まされると言います。

 

 50代に入ると、多くの人は生殖のための身体から、その目的を終えた後の長生きする身体へと切り替わる。

 したがって、30代、40代の頃のように糖質を主食とする食生活を送っていると、グリコーゲンをエネルギーとするシステムが過剰に働き過ぎて、大量の活性酸素を発生させてしまう。

 そこで、砂糖などの甘味料を多量に含む間食やジュースなどは極力避けるようにし、糖質を大量に摂ると起こる血糖値の急上昇とインスリン・ホルモンの大量の追加分泌を起こさないように注意したい。

 こうした「高血糖の呪い」に気づかずに高血糖の生活を長期間続けてきた人は、それだけAGEが多く蓄積し、動脈硬化を発生しやすくなっている。それが50代半ば頃である。

 そんな場合は、とりあえず厳しい糖質制限を実践して血糖値を下げ、肥満からも脱出しておくことが大切だ。(森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p182~183

 

このように、「「高血糖の呪い」に気づかずに高血糖の生活を長期間続けてきた」場合、動脈硬化を発生しやすくなっているため、そのような場合は、「厳しい糖質制限」も必要になってくると言います。

 

また60代になったら、「50代から続けている糖質制限と抗酸化ストレスに対応した食生活に完全にシフトし、大豆タンパク質や良質な肉、魚類を、食物繊維の豊富なタップリの野菜類とともに食べるようにするとよい」と述べられています。

 

さらに「60代では量より質を考え、ドカ食いは避け、良質な肉を週に1~2回、取るとよい。糖質制限をして肥満を防ぎ、大豆タンパク質や良質な肉で食生活を楽しみ、痩せ過ぎを避ける」ことも大切だと言います。

 

認知症予防のための糖質制限は50代・60代からでも遅くはない

 

以上、30代・40代・50代からの糖質制限について、『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』を引用しながら述べてきました。

 

しかし、血糖値を乱高下させる砂糖や人工甘味料などを避ける糖質制限は、20代から始めるに越したことはありませんし、砂糖や人工甘味料の危険性に気づいたら、50代・60代からでも、糖質制限を始めることは決して遅くはないように思います。

 

したがって、ぜひアルツハイマー型認知症の予防対策のために、血糖値を急激に上げる白砂糖や果糖ブドウ糖液糖などを避ける糖質制限を行ってみることをお勧めします。

 

また、認知症を40代・50代・60代から食事で予防するためには、糖質制限を行うだけではなく、腸内環境の改善やサラダ油をやめる油の摂り方も大切になってきます。

 

それに加えて、適度な有酸素運動を行なったり、十分な睡眠をとることも、脳とからだの健康のために必要です。

 

そしてそのことは免疫力を高めて認知症を予防することにもつながっていきます。

40代・50代からの認知症予防