過去の失敗は現在の成功のためにある

ここでは「過去の失敗は現在の成功のためにある」ということについて述べてみたいと思います。

 

失敗に関して大切なことは、「次に失敗しないために失敗する」ということです。実は失敗は失敗をしようと思ってするわけではないのです。

 

そもそも失敗とは「認識不足」によって起こります。

 

失敗しないための情報が、失敗以前に欠けていたから、「失敗」してしまうのです。

 

そして、その失敗は次に成功するためにあります。つまり、失敗は成功のためにあるということが分かれば、「失敗」は悔やむべきものであるよりも、むしろ、今の成功を成り立たせるためにあると考えることが出来ます。すなわち、「失敗」ということに対する正しい認識の仕方は、

 

過去の失敗 ⇒ 現在の成功のため

 

なのであり、失敗とは成功のきっかけなのです。

 

そして、成功したという心持ちで過去の失敗を眺めると、その失敗は嫌な記憶ではなく、むしろ微笑ましいものに変わります。なぜなら、「あの失敗があったからこそ、自分は成功した」と思えるからです。

 

つまり、過去の失敗は今の成功のなかに含まれているのです。

 

問題は、このように過去の失敗を現在の成功のためにあると認識するのではなく、「後悔」することによって、現状の自分自身を受け入れられなくしてしまうから です。過去の「失敗」を「後悔」した場合は、自分の成り立ちを過去の原因によって説明しようとする心性が働いてしまいます。

 

過去に遡って仮想することに意味はない

 

しかし、後悔の原因になる出来事が起きた時点に遡って、選択肢を変えることは出来ませんし、「もしもあの時~だったら」を仮定することに意味はありません。

 

例えば、過去の出来事Zに対して選択肢AとBがあり、あの時、選択肢AではなくBを選んでいたら、今の自分のようにはならなかったと思うことが日常生活の中で度々あるかもしれません。

 

ですが先程も述べたように、AとBという選択肢に対してAを選んでしまったことを「失敗」だと感じるのは、Bの方が良いという情報が欠けていたからです。そのため、過去に遡って選択をやり直したところで、結局認識不足のために同じ選択肢を選んでしまいます。

 

では、なぜ後悔の原因になるあの時、BではなくAのほうを選んでしまったのでしょうか?

 

その答えは簡単です。Bの情報が認識不足だったため、「Aを選ぶことのほうがベストな選択」だと思ったからです。

 

人はその時常にベストな選択を行っている

 

つまり、多くの人は後になってからあの時、AではなくBを選ぶべきだったと後悔しがちですが、その時点ではベストな選択をしているものなのです(なぜなら、もし、AではなくBを選ぶ方がベストだと分かっていたならAではなくBを選んでいたはずだからです)。

 

したがって、過去の出来事Zの選択肢に対して後悔を出来るようになったということは、AよりBの選択肢のほうが良いという情報が時間の経過と共に与えられたということであり、過去に遡ったとしても、情報不足のためにやはりAの方を選んでしまうのです。

 

また、仮にAではなくBの方を選んだとしても、Bを選ぶことが今の自分の現状を100%肯定するという保証にはなり得ません。なぜなら、過去に遡ってBを選んだ自分というのは仮想(シュミュレーション)であり、比較対象ではないからです。

 

そのため、後悔している最中は、AではなくBを選んだことで今よりも幸せな人生を歩んでいると思い込みたくなるかもしれませんが、もしそのように仮想して比較したいならば、Bを選んだ結果、Aを選んで落ち込んでいる今よりももっとひどい災難が訪れていたかもしれないということも、想定しなければなりません。 Aの代わりにBを選んだとしても、必ずしも良い結果がもたらされるとは限らないのです。

過去の失敗は現在の成功のため

やはり過去の失敗は現在の成功のためにある。

 

そういうわけで、過去の出来事は「覆水盆に返らず」であるために、失敗を後悔して仮想の自分の人生をシュミュレーションすることに意味はなく、「失敗することの意味」もしくは「失敗の積み重ね」はやはり現在に成功をもたらすためにあるのです。

 

失敗は悔やむものではなく、次に必ずやってくる「成功」のために活かすものなのであり、その「成功」とは、社会的な地位に限ったことではありません。

 

また、「成功」の意味は人によってそれぞれ違ってくるため、自分にとっての「成功」とは何なのか、それがよく分からない場合は、その意味をよく考える必要があります。

 

真の「成功」は、人から良く見られたいという名声ではなく、自分自身の夢や自己実現の欲求と関わってくるのです。

 

そもそもどの時点で「成功」とするかは、非常に難しい問題です。なぜなら、その時は「成功」だと思っても、時間の経過と共に、「成功」ではなくなる可能性が出てくるからです。

 

また、「成功」は追い求めようとしても、自分が本当に「成功した」と思えなければ、遠ざかっていくばかりで、簡単には手に入らないもの でもあります。

 

したがって、落ち込んでいる時に心の免疫力を高める秘訣は、まず、自分が今、生きているだけで満たされている、非常に幸福な存在であること、そのことが「成功」だということに気づき、そして、あの失敗があったからこそ、自分は今、成功して幸福でいられるのだ、と常に思うようにすることです。

 

ちなみに、その幸福であるという証拠を無理に見つけようとしたり、論証しようとしたりする必要は全くありません。その理由を探すと時間がかかってしまい、いつまでたっても幸せな気持ちにはなれません。

 

大切なのは、まず最初に自分で「今の自分は幸福だ」と、からだをゆるめてリラックスしながら宣言してしまうことです。

 

もし、心がどしゃ降りのような状態にあった時、さらに不運に遭遇すると、落ち込み過ぎてなかなかこのような思考は出来ないかもしれません。しかし、どしゃ降りであったとしても、いつかかならず晴天に恵まれる瞬間がやってきます。

 

そのため、自分がネガティブな状況(人生を失敗の連続と見なしてしまうこと)に陥ってしまったら、そこに深入りしようとせず、今のうまくいかない状態は、次の成功のきっかけに過ぎないと考えるようにして、幸運がやってくるのを待ってみたり、今、ここにある幸福の瞬間に気づいてみたりしてください。

幸福の瞬間に気づく