過度のストレスは免疫系を弱らせる

過度のストレスは免疫系を弱らせ、免疫力を低下させてしまいます。

過度のストレスは免疫力を低下

「ストレス」とは、もともと物理学の分野で使われていたもので、物体の外側からかけられた圧力(ストレッサー)によって歪みが生じた状態を指しますが、医学や心理学などの領域では、心や体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようとして、心や体に生じた様々な反応をストレス反応と言います。

 

そのため、普段の生活において、多少のストレスを感じて、それに対して何らかの反応をすることは自然なことだと言えますが、ストレスがあまりに過剰になると、確実に免疫系の機能を低下させてしまいます。

 

その理由は、ストレスを感じると自律神経の交感神経が優位になり、身体は激しい緊張状態にさらされてしまうからです。その際、体内ではストレスの原因になっている体外の脅威や危険から逃れようとして、体中のエネルギーを、闘争もしくは逃走の方に集中させます。このことについて、ブルース・リプトン氏はこのように述べています。

 

 ストレスホルモンは血液を介して全身に送られ、副腎からの警告を伝える。血流中のストレスホルモンは消化管に分布している血管を収縮させ、血液の栄養分が腕や脚に優先的に届くようにする。危険から逃げ出すには四肢の力が必要なので、それまで内臓に集中していた血液を、四肢に送るようにする。
 闘争・逃走反応では、内臓に送られる血液が減少するために、成長・増殖関係の機能は阻害される。血液が栄養分を送ってくれないと、内臓は適切に機能できない。内臓は消化や吸収、排出を行なっているが、これらの活動によって細胞の増殖が可能になり、身体に必要なエネルギーの蓄えがつくりだされる。それゆえ、ストレス反応は成長・増殖過程を阻害し、さらに生命エネルギーの蓄積を妨げ、生体の生存を危うくする。ブルース・リプトン『思考のすごい力』 p240

 

ブルース・リプトン氏によれば、激しい脅威が危険にさらされ、ストレス反応が起きている最中は、免疫系の働きが弱まってしまうのだそうです。

 

なぜなら、体内の細菌やウイルスと闘うよりも先に、体外の目の前にある脅威をどうにかしなければ、生体そのものが脅かされてしまうためです。

 

もし、生体そのものがダメージを受け、生命を失ってしまったら、元も子もなくなるので、体内のシステムは生き延びるために、免疫機能をおろそかにしてでも目の前の脅威に対処しようとするのです。

 

そのため、ストレスは増大すると確実に免疫系の働きを阻害し、過度のストレスを感じるような毎日を過ごしていると、免疫系にエネルギーがあまり供給されなくなるので、風邪などをひきやすくなってしまうのです。

 

このことがストレスが免疫力を低下させてしまう理由です。

 

なお、免疫とストレスの関係についてはこちらのページをご覧ください。

ストレスは免疫力を低下させる