サラダ油をやめて認知症予防

ここではサラダ油をやめることが認知症の予防につながることについて述べています。

 

サラダ油と認知症との関係性について詳しく述べているのは、医学博士で脳科学専門医の山嶋哲盛氏です。

 

山嶋哲盛氏は『サラダ油をやめれば認知症にならない』のなかで、「「認知症」とは病名ではなく、記憶障害、見当識障害、理解力や判断力、実行力、注意力などの低下により、日常生活やコミュニケーションに支障が出る状態を指します」としています。

 

また認知症の約63%は「アルツハイマー型認知症」だとされていますが、「認知症の大半は加齢に伴って生じる「血管の老化」が原因である可能性が高い」と述べています。

 

さらに山嶋氏は「認知症になりたくなければ、「予防」に力をいれるしか」ないと述べており、その認知症の予防策とは「サラダ油をやめること」だと言います。

 

では、なぜサラダ油が認知症の原因になるのかといえば、その理由は、高温で加熱されたサラダ油に含まれる「ヒドロキシノネナール」という毒性物質が、神経細胞を死なせてしまうからです。

 

これまではタンパク質のゴミである「アミロイドβ」の蓄積が認知症を引き起こすと言われてきました。

 

しかし山嶋哲盛氏は、必ずしも「アミロイドβ」が認知症発症の原因ではないのではないかと仮説をたて、代わりにサラダ油を摂ることで発生する「ヒドロキシノネナール」という毒性物質が、認知症発症の根本原因かもしれないと推測しています。

サラダ油をやめれば認知症にならない
山嶋哲盛『サラダ油をやめれば認知症にならない』

サラダ油に含まれる「ヒドロキシノネナール」の怖さとは?

 

サラダ油にはリノール酸が含まれていることはよく知られています。このリノール酸が200℃前後に加熱されると、「ヒドロキシノネナール」が急激に増加します。

 

そしてこの「ヒドロキシノネナール」は、おそろしいことに、血液中に取り込まれて体内に拡散し、脳内に蓄積してしまうと、結果的に神経細胞をサビつかせたり死なせたりしてしまうのです。

 

また、そのことによって、脳内の神経細胞同士のネットワークに悪影響を与えるのです。そして物忘れや注意力の低下が頻繁に起こるようになるのです。

 

①サラダ油の摂取

   ↓

②体内とくに脳内にヒドロキシノネナールが蓄積する

   ↓

③ヒドロキシノネナールによって神経細胞の生存に必須の「熱ショックタンパク質70」が、特殊な酸化損傷(カルボニル化)を受ける

   ↓

④熱ショックタンパク質70はカルパインによって分解されやすくなる

   ↓

⑤熱ショックタンパク質70が激減して、リソソーム膜が破れ、神経細胞が死んでいく(山嶋哲盛『サラダ油をやめれば認知症にならない』 p37

 

つまり分かりやすくいえば、サラダ油の主成分であるリノール酸が高温で加熱されると急激に増える「ヒドロキシノネナール」という毒性の物質が、神経細胞を死なせてしまう原因になるということなのです。

 

そしてこのことは脳の神経細胞の働きを劣化させるだけではなく、神経細胞同士のネットワークを遮断することにもつながるため、認知症・アルツハイマー病発症の大きな要因である可能性が高いと考えられます。

サラダ油をやめれば認知症にならない

サラダ油をやめることが認知症予防につながる

 

したがって、40代・50代の早いうちから認知症を予防するためには、日頃の食事の中での油の摂り方に気をつける必要があると言えます。

 

特に大切なのはこれまで述べてきたように、まずサラダ油・食物油の摂取をなるべく控えることです。

 

「ヒドロキシノネナール」の大量に発生したサラダ油は、コンビニやスーパーで売られているカップラーメンやお菓子といった加工食品や、揚げ物、お弁当などに多く含まれています。

 

また、ファミレスやファーストフード店でも、サラダ油は安価であるという理由から大量に使われている可能性は高いです。

 

その「ヒドロキシノネナール」が知らない間にジワジワと私たちの脳の神経細胞を蝕んでいる可能性があります。

 

それに加え、サラダ油には細胞のスムーズな新陳代謝を妨げる「トランス脂肪酸」も含まれています。一般的に「トランス脂肪酸」はマーガリンに多く含まれているとされていますが、植物油を精製する際にも発生するため、サラダ油にも含まれているのです。

 

しかし油は私たちの60兆個の細胞の細胞膜を形成するなど、体にとって必要不可欠な栄養素であるため、摂らなくても良いというわけではありません。

 

また人間の脳の6割は脂質で出来ており、脳の4割はDHAで構成されていると言われています。

 

そのため脳の細胞の健康を維持するのに大切なのは、サラダ油を減らし、代わりにオメガ3不飽和脂肪酸のひとつである「DHA」を多く摂っていくことだと思われます。

 

認知症を予防するための対策はDHAを多く摂るようにすること

 

DHAは脳の神経細胞の健康維持に欠かせないのですが、問題なのは「DHA」はサバやイワシなどの青魚に特に多く含まれているということです。

 

そのため、毎日青魚を食べているという方は、DHAの不足を心配する必要はありませんが、青魚を毎日食べるのは難しいという方も多くいらっしゃると思われます。

 

しかし普段から青魚を食べる習慣がほとんどなく、特に油の摂り方にも気をつけていないという方は、慢性的なDHA不足に陥っている可能性があります。

 

「DHA」は1日の1000mg程度摂る必要があると言われています。

 

したがって、普段の生活でDHAを十分に摂れていないという方には、「DHA」をサプリメントで摂取したり、サラダ油を摂る代わりに亜麻仁油やえごま油など、α‐リノレン酸が体内でDHAに変換される油を使ったりすることをオススメします。

 

また、オメガ3サプリメントを利用すれば、手軽に十分な量のDHAを摂取できます。

さらに亜麻仁油やえごま油は、DHAに変換される量はそれほど多くないとされていますが、慢性的なDHA不足を少しでも解消するのを助けてくれます。

 

認知症は一度発症してしまうと、その症状を回復に向かわせるのは難しいと言われています。そのため「予防」の意味もかねて、なるべくサラダ油を摂らないようにし、代わりにDHAを摂り続けていくことが重要なのです。

 

それに加えて、食事においては砂糖や精製デンプンをなるべく控える「糖質制限」も大切になってきます。

 

そしてそのように食習慣に気をつけることが、若いうちからの認知症予防につながるのです。