糖質制限健康法

ここでは免疫力を高める方法のひとつとして、ゆるやかな糖質制限を推奨しています。

 

糖質の摂り過ぎによって、血糖値が上がることは、生活習慣病のひとつである糖尿病をはじめとして、アルツハイマー型認知症うつ病など、様々な病気を引き起こす原因になります。

 

また、近年は終末糖化産物・糖化タンパクとよばれる「AGE(AGEs)」と、老化や生活習慣病との関係性も指摘されるようになりました。

 

もし血液が糖によって汚れてしまうと、細胞にビタミンやミネラルなどの栄養素が届きにくくなり、結果的に免疫力の低下を引き起こしてしまいます。そのため、細胞を健康に保つためには、糖質の摂り過ぎは控えた方が良いと考えられるのです。

 

さらに糖質制限を適度に行うことは、血糖値の乱高下を防ぎ、血糖値を正常に保つために効果を発揮します。

 

 糖質制限のメカニズムは、シンプルである。

 人間の三大栄養素と呼ばれる糖質、タンパク質、脂質のうち、血糖値を上昇させるのは、基本的に糖質のみ。特に白いごはん、白いパン、精製した「白い炭水化物」を短時間にドカ食いするスタイルで摂ってしまうと、血糖値が急上昇する。そのままでは危険なので、それを降下させるため、膵臓からインスリンの追加分泌が大量に起こる。

 

 また、1日3日の食事に加えて、間食やおやつなどで間断なく糖質を摂り続けると、その都度、血糖値が上昇し、それを降下させるたびにインスリンが分泌される。その際、血管内では、グルコース・スパイクと呼ばれる激しい血糖値の乱高下が起こり、高血糖状態が続くことで、血管内の内皮が傷つけられる。傷口にふたをするために、血栓が付着して、動脈硬化などの原因となっていく。森下竜一・桐山秀樹『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』p77

 

糖質制限の注意点

 

しかし糖質制限で注意しなければならないのは、糖質の摂り過ぎはメタボや肥満症などの生活習慣病の原因になるという理由から、いきなり極端な糖質制限を行ってしまうことです。

 

糖質制限とは、糖質を摂らない代わりに、タンパク質や脂肪を多く摂るようにする健康法ですが、普段からお米やパン、蕎麦などを食べているにも関わらず、極端に糖質制限を行うことで、目まいなどの体調不良が生じたという報告があります。

 

また、糖質制限の最大の誤解として、パンやごはんを避けて糖質制限をする代わりに、肉、魚、乳製品など、それ以外にものはいくらでも食べてもOKだとしてしまうことが挙げられます。

 

 糖質をたくさん含んでいるという理由から、野菜や果物を制限する一方で、ベーコン、ソーセージ、ホットドッグのような加工肉、脂肪の多い肉やチーズ、クリーム、バターなどの乳製品を制限していません。脂肪については好きほうだい摂ってよいとされています。(『「原始人食」が病気を治す』 﨑谷博征 マキノ出版 p130

 

さらに糖質制限を行うことによって「オリゴ糖」や「食物繊維」が不足してしまう可能性も出てきます。

 

オリゴ糖」は糖質ですが腸内細菌のエサになりますし、腸内環境を改善するために非常に大切な「食物繊維」は炭水化物に分類されますので、無理な糖質制限を課すことは、私たちの腸に生息し、様々な恩恵を与えてくれている腸内細菌にも全く食べ物を与えないようにしてしまうことになってしまいます。

 

ちなみに腸は免疫機能のおよそ7割を担っているため、もし腸内環境が悪化してしまえば、そのぶん、免疫力が低下してしまいます。

 

したがって、砂糖や精製デンプン、異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)などの糖質は減らしても、食物繊維やオリゴ糖は腸内環境の改善と腸内細菌の健康、さらに免疫力を高めるためにしっかりと摂らなければならないのです。

 

糖質制限はゆるやかに

 

また、一般的な「糖質制限」についてですが、普段の食生活のなかで糖質制限を始めようとして突然炭水化物の量を極端に減らすと、体調を崩す原因になりやすいと言われています。

 

そのため、健康法として「糖質制限」を始める際は、「糖質ゼロ」を目指すのではなく、自分のからだの調子と相談しながら、ストレスにならないようにゆるやかに行うことが重要になってきます。そして、そのゆるやかに行うことが、無理をせず、長続きさせるためにも大切になってきます。

 

以下、江部康二氏の『人類最強の「糖質制限」論』からゆるやかな糖質制限の目安を紹介しますので、よろしければ参考にしてみてください。

 

スタンダード糖質制限食

夕食は糖質制限をしますが、朝食と昼食はどちらか1食だけ糖質制限。つまり朝食か昼食どちらか1食だけ糖質をとります。

糖質をとる場合、1食当たり糖質50~60g。1日当たり糖質70~100gが目安です。

朝食か昼食どちらか1食だけ糖質をとるといってもご飯の大盛やおかわりは避け、量を控えめにします。また、玄米や全粒粉パン、そばの実を石臼などで挽いた十割そばなど、精製度が低くて食物繊維が多く、血糖値を上げにくい主食を選ぶように心がけるとなおいいでしょう。(江部康二『人類最強の「糖質制限論」』p79

 

プチ糖質制限食

これは1日3食のうち夕食だけ糖質制限をする方法です。

1日当たり糖質110~140gが目安。朝食と昼食は、1食当たり糖質50~60gが目安です。

プチ糖質制限食はハードルが低い分、続けやすいです。スタンダード糖質制限食と同じく、糖質をとるときはご飯の大盛りやおかわりを避け、精製度の低いもの(ご飯なら玄米、パンなら全粒粉パンなど)を選ぶようにするとより効果的です。(江部康二『人類最強の「糖質制限論」』p80

江部康二『人類最強の「糖質制限論」』
江部康二『人類最強の「糖質制限論」 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる』

参考文献

夏井睦『炭水化物が人類を滅ぼす』光文社

山田悟『糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべて』 幻冬舎

江部康二『人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる』SBクリエイティブ

生田哲『砂糖をやめればうつにならない』角川書店

溝口徹『「うつ」は食べ物が原因だった!』青春出版社

光岡知足『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』 祥伝社

藤田紘一郎『人の命は腸が9割 大切な腸を病気から守る30の方法』 ワニブックス

﨑谷博征『「原始人食」が病気を治す』 マキノ出版