マインドフルネス瞑想の方法

ここではマインドフルネス瞑想の方法について述べています。マインドフルネス瞑想の方法はヴィッパサナー瞑想とほぼ同じですが、ここではマインドフルネス瞑想を続ける上での細かいポイントについても触れていきたいと思います。

 

マインドフルネス瞑想の方法のポイント

  •     身体の力を抜いて楽な気持ちになる(リラックスする)。
  •     気持ちよく背筋を伸ばす(気の通りを良くする)。
  •     深い呼吸を心がける(吸う息よりも吐く息を長く)。
  •     現在の時間を実況中継する。
  •     判断を中立にする(心をニュートラルにする)。
  •     雑念にとらわれたらサティ(気づき)の言葉を入れる。
  •     瞑想のための時間をしっかりと取る。

 

マインドフルネス瞑想は、今、現在の瞬間に100%集中する瞑想であり、いつ、どこででも、簡単に出来るのが特徴です。また、マインドフルネス瞑想といっても、大げさなものではありませんし、初めてマインドフルネス瞑想を始めるのに、特別な資格は必要ありません。

 

さらに、マインドフルネス瞑想は、気づきを入れながら瞑想を深めていくことで、感覚に没入することなく、常に対象化していくため、自分を見失うという危険性はありません。

 

そのため、マインドフルネス瞑想は瞑想に不安を感じる方でも安心して始めることができます。

 

それに加えて、マインドフルネス瞑想を続けることで培った技術は、日常生活のなかの仕事や人間関係に応用できるので、マインドフルネス瞑想を始めてみることは自分にとってプラスに働きます。

 

マインドフルネス瞑想を始めるには?

 

マインドフルネス瞑想を始める時は、まず、心地よい姿勢になり、体の力を抜いて気持ちを楽にします。

 

特にストレスを感じることが多い日常を送っていると、表情が険しくなり、呼吸は浅く、こめかみのあたりに余計な力が入っていることが多いので、体だけではなく、頭部の辺りの力も抜いてリラックスしていきましょう。

 

ちなみにマインドフルネス瞑想は座っていても寝ていても出来ますが、初めての場合は、座り心地の良い椅子に座ったり、楽な胡坐(あぐら)の姿勢になって始めてみると行いやすいです。

 

また、座って瞑想を始める時は、だらしなく座るのではなく、猫背にならないよう気持ちよく背筋を伸ばすことが大切です。

 

なぜなら、背すじを伸ばさないと、呼吸をした際に、気の通りが悪くなるからです。

 

背すじを気持ちよく伸ばし、心地よい呼吸を行うと、身体の調子は良くなりますし、心もリフレッシュしていき、気持ちも前向きになります。

 

マインドフルネス瞑想で呼吸を観察してみる

 

姿勢を整えたら、実際にマインドフルネス瞑想を始めていきますが、まず大事なのは深い呼吸です。

 

呼吸は吸うことも吐くこともどちらも大事ですが、吐くほうの時間を長めにすることがよりリラックスする秘訣です。

 

呼吸法についてはこちらのページをご参照ください。

 

そして、しばらくの間、深い呼吸でリラックスしながら気息の流れを観察していきます。

 

ゆったりと呼吸したくても、頭の中に様々な想念や雑念が浮かんできてしまう場合は、呼吸の流れを実況中継してみることがオススメです。

 

息を吸う際に、空気が鼻腔のあたりを通り抜けていくのを感じながら、「吸います、吸います、吸います」、また、吐く息を感じながら、「吐きます、吐きます、吐きます」と実況中継すると、現在の時間に集中しやすくなります。

 

もし、だんだん気が散ってきたら、今度はお腹に手を当てて、その感覚をもとにして「ふくらみ、ふくらみ、ふくらみ」、「ちぢみ、ちぢみ、ちぢみ」と実況中継してみます。

 

マインドフルネス瞑想では判断を中立にする

 

マインドフルネス瞑想をする目的のひとつは、自分の価値判断を一度、中立にすることだと言えます。

 

これはどういうことかといえば、普段、私たちは物事に対して、「好き/嫌い」「良い/悪い」などと、二分法的思考で価値判断してしまっています。

 

しかし、マインドフルネス瞑想をしている間だけは、自分の主観から離れ、頭のなかを一度リセットし、<世界>のあるがままの姿・瞬間をあるがままに感じたり、観察したりするようにしてみてください。

 

そして、これまで気づかなかった様々なことに気づいていってください。

 

しばらく呼吸を観察し、慣れてきたら、今度は視覚や聴覚、味覚など、五感で捉えられる様々な感覚をあるがままに感じてみましょう。

心をニュートラルにすると、音、匂い、色や光、感触、食べ物の味などが、これまでとは違った姿で現れてきます。

 

そして、ここでも「好き/嫌い」などと価値判断せず、水の音を感じたら、「水、水、水」、花の香りを感じたら、「花、花、花」など、サティ(気づきの言葉)を入れて、実況中継することで、再び主観によって価値判断を行うのを避けましょう。

 

マインドフルネス瞑想で雑念にとらわれるのは当たり前

 

しかし、マインドフルネス瞑想を始めても、最初のうちは、すぐに雑念が浮かんできてしまいます。

 

特に嫌な出来事に直面した後では、そのことばかりが、頭に浮かんできてしまいます。

 

そのような時は、「雑念、雑念、雑念」というサティを入れて、自分が雑念にとらわれていることに早めに気づくようにします。

 

また、過去のイヤな記憶や他人の不愉快な言動を思い出してイライラしてしまった時は、そのイライラにのみ込まれてしまうのではなく、苛々してしまっている自分に気づき、その苛々している自分を、少し離れた場所から眺めるようにして、対象化してみましょう。

 

しかし、雑念にとらわれるのは当たり前ですので、もし瞑想がなかなかうまくいかなくても、最初のうちは訓練だと思って、そのことで不必要に自分を責めたりしないでください。

 

それに加え、マインドフルネス瞑想をしている間に、過去の失敗や苦い思い出などが甦ってきても、その記憶を悪者扱いしたり、自分のせいにしたりすることで、自分にダメージを与えることは避けてください。

 

なぜなら、マインドフルネス瞑想を行う目的のひとつは、マイナスイメージの自分を否定せず、そのマイナスイメージの自分も、自分の一部として受け入れてあげられるようになることでもあるからです。

 

マインドフルネス瞑想は心のトレーニングとして地道に続けることが重要

 

以上、マインドフルネス瞑想の方法について最低限のことを書いてきましたが、マインドフルネス瞑想はいきなりうまくやろうとすることにそれほど意味はないように感じます。

 

それよりも、毎日瞑想のための時間を確保し、地道に少しずつ行うことで、意識が過去や未来だけではなく、現在の瞬間に向かうようトレーニングすることが重要なのです。

 

例えば、ジョギングやサイクリングを行なっている間に、五感を働かせて目の前の風景や様々な音、吹いてくる風などを感じてみるのもお勧めです。

 

森林公園のような場所を走っている時に、もし小鳥のさえずりが聴こえてきたら、「小鳥、小鳥、小鳥」や「さえずり、さえずり、さえずり」などと、サティ(気づきの言葉)を入れて実況中継していきます。

 

気持ちの良い風が吹きつけてくるのを肌に感じたら、「風、風、風」、木々の美しい緑が目に入ってきたら、「緑、緑、緑」など、なるべくシンプルに実況中継していきます。

 

また、例えばランニングしている間、自分の呼吸に感覚を向けながら走り、さらに、自然を感じるようにしても気持ち良さを感じることが出来ます。

 

このようにして、マインドフルネス瞑想を地道に続けることで、自分の心を少しずつ拡張していくのです。

 

もし、マインドフルネス瞑想を途中であきらめずに、毎日続けていくと、これまでの世界が違って見えるようになってきます。

 

そして、これまで気づくことができなかった<世界>の豊饒さにも気づけるようになります。