ミトコンドリア健康法は、ミトコンドリアを活性化することで、からだの免疫力を高めたり自然免疫を維持したりするために最適の方法です。
ミトコンドリアは、太古の昔、原核細胞と好気性細菌(アルファ・プロテオ細菌)の共存によって出現したとされていま す。
そのミトコンドリアは現在、ヒトの細胞内に200から1000ほど生息すると言われており、60兆もの細胞をもつ人間の体内には、少なくとも1京8000億ものミトコンドリアが存在していると考えられています。
そしてそのミトコンドリアは、人間と共生することで、ヒトのからだにとって必要不可欠なエネルギーに換える「ATP(アデノシン3リン酸)」と呼ばれる物質を作り出す働きをしています。
この「ATP」はいろいろな用途に利用できる高エネルギー化合物であり、共通のエネルギー通貨のようなものですが、ミトコンドリアによって作られるとすぐに消費されるため、貯めておくことが出来ないという性質を持ちます。
そのため日頃から免疫力を高めて病気をせず、真の健康・自然治癒力を維持していくためには、このATPがミトコンドリアによってきちんと作られなければなりません。
また、ミトコンドリアは自然免疫の始動に関わっているという研究報告があります。さらに新陳代謝にも深く関わっているので、様々な免疫病を防ぐには、細胞の新陳代謝を行うミトコンドリアの存在が鍵になってきます。
ちなみに『免疫力を高める生活 健康の鍵はミトコンドリアが握っている』の著者、西原克成氏は、「免疫病はどれも、細胞呼吸のミトコンドリアの障害によるものです」(『究極の免疫力』)とし、
「一、ミトコンドリアは、各細胞のなかで半ば自立的に分裂・増殖を続けている。」
「二、食物として取り入れた糖や脂肪などの栄養素やミネラル・ビタミン・水素と、呼吸によって取り入れた酸素、それに酵素と補酵素が加わって、三〇〇種類ほどある全身の細胞がそれぞれに必要とするエネルギー物質のアデノシン三リン酸(ATP)をつくり出している。」
「三、ミトコンドリアは、新陳代謝の主役としては体温を一定に保ち、細胞のリモデリングを行い、細胞の同化・異化・運動の調節・老廃物の排出とともに老化を予防する働きを担っている。」
と、述べています。
さらに西原克成氏によれば、ミトコンドリアは「外部から作用する適度なエネルギーがなくては、エネルギー代謝も自身の新陳代謝も行うこと」が出来ないのだといいます。
そしてそのエネルギーとは、「質量のないエネルギー」であり、特に「生命にとって大切なエネルギー」である「熱」と「光」と「重力」が、ミトコンドリアの新陳代謝には重要だと述べています。
また、医学博士の宇野克明氏は、ミトコンドリアの機能低下や細胞の劣化につながるフリーラジカル(活性酸素)が増えすぎないように注意を促しながら「ミトコンドリア健康法」として以下を挙げています。
①過度の栄養摂取を控える。
過度の栄養はATP需要を越えた電子の漏電をまねき、フリーラジカルを増やす。
②食事のカロリー制限は朝、昼に重点を置き、夜は控えめに。
ミトコンドリアで作られたエネルギー源ATPも活動によって処理しやすい。
③寝る前の食事やアルコール摂取は控える。
寝る前はATP需要も減り、過度の栄養は電子の漏電やフリーラジカルを増やす。
④食事の後は適度な運動も好ましい。
運動でATP消費もスムーズとなり、電子の漏電によるフリーラジカルを防ぐ。
⑤過度の運動は控えめに。
過度の運動はむやみに酸素消費量を増やし、フリーラジカルを大量に発生させる。
⑥むやみな抗酸化対策は行わない。
ミトコンドリア環境改善という源流対策も行わず、フリーラジカルの警告だけを消し去るとアポトーシスが中断してしまい、発がんの原因にも。
(宇野克明『ミトコンドリア革命』p142~143)
さらに宇野克明氏は「フリーラジカル・抗酸化対策の基本はその発生器官・ミトコンドリアそのものの環境を改善し、その発生を根本から防ぐという直接的な発想が必要なのである」としています。
つまり、宇野克明氏のミトコンドリア健康法のポイントは、ポリフェノールなどの摂取によって活性酸素の働きを防ぐ抗酸化対策を行う前に、ミトコンドリアが活発に働けるような体内環境を作ることが大切だということです。
また、ミトコンドリアが機能低下を起こさないよう、日頃の生活習慣を気をつけてみることも大切です。
このことに関しては、西原克成医学博士がミトコンドリアの働きの障害となる要素として、
などを挙げています。
しかし、細胞内のミトコンドリアは増やすことが出来ますので、日頃からミトコンドリアを増やしたり活性化したりすることが、ミトコンドリアの健康法としては重要になってきます。
ミトコンドリアの増やし方
(参考 太田成男『体が若くなる技術 ミトコンドリアを増やして健康になる』)
また一般的には、抗酸化作用がある水素水、ケイ素、還元型のコエンザイムQ10などを日頃から摂るようにすることも、活性酸素を減らすことで細胞内のミトコンドリアを元気にしてくれるとされているため、興味がある方はミトコンドリアの健康法のために摂ってみると良いかもしれません。
そのほか、普段から適度に日光浴を行うことも、ミトコンドリアの活性化のためには、欠かせません。
参考文献
太田成男 『体が若くなる技術 ミトコンドリアを増やして健康になる』 サンマーク出版
太田成男・瀬名秀明 『ミトコンドリアのちから』 新潮社
西原克成 『免疫力を高める生活 健康の鍵はミトコンドリアが握っている』 サンマーク出版
宇野克明 『ミトコンドリア革命 私たちの健康・未来はミトコンドリアが握っている』 東邦出版
日置正人 『ミトコンドリア不老術』 幻冬舎
長沼敬憲 『ミトコンドリア“腸"健康法 』ハンカチーフ・ブックス (編集) 日貿出版社
ニック・レーン 『ミトコンドリアが進化を決めた』 斉藤隆央 訳 みすず書房